醤油への思い

鈴木醸造の木桶仕込み醤油

1924(大正13)年の創業以来受け継がれてきた杉の木桶で、国産丸大豆・小麦・天然塩を使用し、合成添加物を使わず高品質な醤油の醸造に努めています。木桶仕込みの醤油は現在の流通量の1%以下と大変希少なものとなっています。

近年、生産効率を優先し、短期間で醸造される醤油が多い中、鈴木醸造では自然にゆだね、じっくりと時間をかけて醸造しています。
醤油づくりに蔵を構えたこの土地の風土で風味ある美味しい醤油醸造を行うためにはこのじっくりと待つ時間が必要なのです。
大正時代から続く醸造蔵には、蔵付き酵母をはじめ多くの微生物がびっしりと棲み着いています。
この微生物の『力』と自然が与える『風土』こそが丸大豆の旨味を引きだし、木桶醤油ならではの独特の豊潤な香りと味わいを醸しだしています。

蔵に棲み着く微生物は、その蔵元特有の生態系をつくります。そして長い歴史を積み重ね、その蔵元にしか出せない風味の醤油が生み出せるのです。

醤油への思い

醤油は、原料の大豆・小麦が糀菌の働きにより分解・熟成を重ね、生み出される発酵調味料です。

時間をかけて風土に合わせて特有の味わいを醸し上げていくには、長い時間が必要になります。この醸造工程を効率的に短縮した醸造方法もあります。

こうした製法は、時間がかからず、大量生産が可能となり、非常にコストが安く低価格な商品ができあがります。

鈴木醸造では、厳選された原料を蔵付き酵母のちからでじっくりと木桶で熟成させる

自然の四季の寒暖に委ね、発酵が進み熟成が重ねられ、旨み・風味・色味を醸し上げる昔ながらの製法です。

ふつふつと発酵する生きた醤油もろみに櫂をいれ、木桶の中の全てがひとつの醤油に醸しあがる時を待ちます。

鈴木醸造の醸造蔵には、蔵付き酵母をはじめとする微生物が蔵いっぱいに棲みついています。

この微生物の力があってこそ、芳醇で滋味溢れる醤油が生み出されるのです。

創業以来百有余年、自然の力に委ね待つ伝統的な木桶仕込みの技術で醤油を熟成させています。

鈴木醸造では時代とともに登場した近代醸造の流れにのる事なく、伝統的な醤油づくり・食への思いを、醤油に込めて守り続けております。

微生物のちから

醤油の製造過程の主人公は微生物。その代表格が麹菌・乳酸菌・酵母菌で、これらの微生物のちからで大豆のタンパク質をうま味成分のアミノ酸に分解したり、有機酸をつくったり、香り成分に欠かせないアルコールをつくってくれます。
昔ながらの木桶で仕込んでいる蔵にはその蔵特有の微生物が棲み着いていて、その個性が醤油の風味や味わいの違いになってきます。

麹菌

蒸した大豆と炒った小麦に種麹をつけて繁殖をさせます。3日ほどかけて繁殖させる工程を麹づくりといって、醤油づくりの中でとても重要な工程になります。

麹を繁殖させて生み出された酵素には、大豆のタンパク質をアミノ酸に分解してくれる働きがあります。また小麦のでんぷんもぶどう糖に分解してくれます。

よい麹ができることはよい酵素ができることで、原料をしっかりと分解することができておいしい醤油になるのです。

乳酸菌

有機酸をつくりだす微生物で、醤油に爽やかな酸味や深みを与えてくれます。

乳酸菌が活発に働き、乳酸発酵が進むほどに諸味のphが酸性になり、酵母菌が活動しやすい環境になります。このようにして乳酸菌から酵母菌に引き継がれていきます。
 

酵母菌

木桶仕込みの蔵には、風土や気候などその土地ならではの蔵付き酵母菌が蔵の隅々に棲み続けています。発酵が進むなかでこれらの酵母菌の活動が始まります。
はじめに主発酵酵母がでんぷんが分解されたぶどう糖を元にアルコールを生み出し、乳酸菌がつくった有機酸と化学反応して複雑な香りを生み出します。その後に、熟成酵母がゆっくり活動して味に深みをあたえます。熟成期間が長いと深い味わいになるというのはこのような理由からで、ステンレスタンクに酵母菌を添加し熟成期間を短縮してつくる醤油にはない蔵特有の複雑で風味豊かな醤油ができ上がります。

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